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睡眠障害と認知症の関係とは?予防や対策について解説

睡眠障害認知症は密接な関係にあります。睡眠不足や睡眠時無呼吸などの睡眠障害があると、脳にアミロイドβというタンパク質が蓄積し、認知症のリスクが高まると考えられています。逆に、認知症になると、睡眠リズムが乱れたり、夜間に眠れなかったりする睡眠障害が起こりやすくなります。この記事では、睡眠障害認知症の関係や予防・対策について詳しく解説します。

睡眠障害認知症の関係

睡眠障害認知症の関係には、主に以下の2つの側面があります。

睡眠障害認知症の原因や準備因子となる
認知症睡眠障害の原因や合併症となる

睡眠障害認知症の原因や準備因子となる

睡眠は脳の健康に欠かせないものです。睡眠中には、脳内でアミロイドβというタンパク質が生成されたり、排出されたりするプロセスが行われます。アミロイドβは、正常な量であれば神経細胞を保護する役割を果たしますが、過剰に蓄積すると神経細胞を傷つける毒性を持ちます。アミロイドβの過剰な蓄積は、アルツハイマー認知症の主要な原因の一つです。

睡眠不足や睡眠時無呼吸などの睡眠障害があると、アミロイドβの生成量が増えたり、排出量が減ったりすることで、脳内にアミロイドβが蓄積しやすくなります。また、睡眠不足や睡眠時無呼吸は、血圧や血糖値などの生活習慣病のリスクも高めます。生活習慣病は、血管を傷つけて脳への血流を低下させることで、脳卒中や脳血管性認知症の原因にもなります。

さらに、睡眠不足や睡眠時無呼吸は、記憶や学習などの高次脳機能にも影響します。睡眠中には、一日の間に得た情報や経験が整理されて記憶に定着するプロセスが行われます。このプロセスは、海馬という脳内部位で起こりますが、海馬はアミロイドβの蓄積によって最初に障害を受ける部位でもあります。睡眠不足や睡眠時無呼吸があると、海馬の機能が低下し、記憶障害や認知機能低下のリスクが高まります。

以上のように、睡眠障害認知症の原因や準備因子となる可能性があります。逆に、十分で質の高い睡眠をとることは、認知症の予防につながると考えられます。

認知症睡眠障害の原因や合併症となる

認知症になると、睡眠障害も起こりやすくなります。認知症によって、以下のような睡眠障害が生じることがあります。

不規則な睡眠・覚醒リズム
夜間の不眠
昼間の過度な眠気
夢遊病や悪夢
レム睡眠行動障害

不規則な睡眠・覚醒リズムは、昼夜逆転や不安定な睡眠時間を指します。認知症になると、体内時計を調節する脳内部位やホルモンの分泌が乱れたり、日中に十分な活動量や光刺激を得られなかったりすることで、睡眠・覚醒リズムが不規則になります。これは、夜間に寝付きが悪くなったり、中途覚醒したりする不眠の原因にもなります。

昼間の過度な眠気は、夜間の不眠や睡眠時無呼吸などの影響で睡眠不足になっている場合や、脳内でアミロイドβが蓄積して覚醒を維持する神経細胞が障害されている場合に起こります。昼間に過度に眠ってしまうと、夜間の睡眠リズムがさらに乱れたり、日中の活動量が減ったりすることで、認知症状の進行を促進する可能性があります。

夢遊病や悪夢は、レム睡眠行動障泊という睡眠障害の一種です。レム睡眠は夢を見る睡眠段階であり、通常は筋肉が弛緩して動かないようになっています。しかし、レム睡眠行動障害では筋肉弛緩が失われてしまい、夢を見ている内容に応じて手足を動かしたり、叫んだりすることがあります。この障害はパーキンソン病レビー小体型認知症などの神経変性疾患と関連しており、自分や周囲の人に危害を及ぼす恐れがあります。

以上のように、認知症睡眠障害の原因や合併症となる可能性があります。逆に、睡眠障害を改善することは、認知症の進行を遅らせたり、症状を軽減したりする効果が期待できます。

睡眠障害認知症の予防・対策

睡眠障害認知症の予防・対策には、以下のようなポイントがあります。

睡眠時間や睡眠環境を整える
睡眠時無呼吸などの睡眠障害を早期に発見・治療する
日中に適度な運動や光刺激を取り入れる
脳トレや趣味などで脳を活性化させる
生活習慣病やストレスをコントロールする
認知症の早期発見・早期治療を受ける

睡眠時間や睡眠環境を整える

睡眠時間や睡眠環境を整えることは、睡眠障害認知症の予防・対策において基本的なことです。一般的に、成人の場合は毎日7~8時間の睡眠が必要とされています。また、睡眠中に起こる深い睡眠やレム睡眠は、脳内でアミロイドβが排出されたり、記憶が定着したりする重要な段階です。深い睡眠やレム睡眠を確保するためには、以下のような工夫が有効です。

寝る前にカフェインやアルコールなどの刺激物を摂らない
寝る前にスマホやテレビなどのブルーライトを避ける
寝室は暗くて静かで快適な温度にする
寝る前にリラックスできる音楽や香りなどを利用する
寝る前に入浴やストレッチなどで体をほぐす
毎日同じ時間に起きて寝る

睡眠時無呼吸などの睡眠障害を早期に発見・治療する

睡眠時無呼吸は、呼吸が何度も止まったり浅くなったりすることで、脳への酸素供給が不足したり、血圧が上昇したりする睡眠障害です。この障害は、アミロイドβの蓄積や生活習慣病のリスクを高めるだけでなく、日中の眠気や集中力低下などの生活にも影響します。しかし、自覚症状が少ないため、気づかないまま放置されることが多いです。睡眠時無呼吸の疑いがある場合は、以下のようなチェック項目に当てはまるかどうかを確認してみましょう。

いびきをかく
寝ている間に息が止まったり苦しそうにする
朝起きたときに喉が渇いたり口が乾いたりする
朝起きたときに頭痛やだるさがある
日中に眠気や倦怠感がある
集中力や記憶力が低下している

これらの項目のうち、2つ以上当てはまる場合は、睡眠時無呼吸の可能性が高いと考えられます。その場合は、医師や専門医に相談して、睡眠検査や治療法を受けることが重要です。睡眠時無呼吸の治療法には、体重の減量や禁煙などの生活改善や、口腔内装置や気道加圧装置などの器具を使用する方法などがあります。

睡眠時無呼吸以外にも、不眠症や過眠症、レストレスレッグス症候群などの睡眠障害がある場合は、早期に発見・治療することが大切です。睡眠障害の治療法には、薬物療法認知行動療法などの心理的介入、光療法や音楽療法などの生活環境の改善などがあります。自分に合った治療法を医師や専門医と相談して決めましょう。

日中に適度な運動や光刺激を取り入れる

日中に適度な運動や光刺激を取り入れることは、睡眠障害認知症の予防・対策に有効です。運動は、体内時計を調節するメラトニンというホルモンの分泌を促進したり、血流を改善したりすることで、睡眠の質を高めます。また、運動は、脳内で神経細胞を増やしたり、神経伝達物質を分泌したりすることで、脳の機能を向上させます。運動は、30分以上の有酸素運動(歩く・走る・自転車など)を週3回以上行うことが目安です。

 

光刺激は、体内時計を調節する視床下部という脳内部位に影響を与えます。朝起きたときに日光を浴びることで、覚醒ホルモンであるコルチゾールの分泌が促されて目覚めが良くなります。また、夕方から夜にかけて暗くすることで、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が促されて眠気が増します。光刺激は、日中に**2時間以上**の自然光を浴びることが目安です。

脳トレや趣味などで脳を活性化させる

脳トレや趣味などで脳を活性化させることは、睡眠障害認知症の予防・対策に有効です。脳トレや趣味は、記憶や判断力などの認知機能を鍛えたり、ストレスを解消したりすることで、脳の老化を防ぎます。また、脳トレや趣味は、日中に適度な刺激や楽しみを提供することで、睡眠・覚醒リズムを整えたり、睡眠の質を高めたりします。脳トレや趣味は、パズルやクロスワードなどの頭を使うゲームや、音楽や絵画などの芸術活動、読書や勉強などの知的活動などがあります。自分の好きなものを選んで、毎日15分以上行うことが目安です。

生活習慣病やストレスをコントロールする

生活習慣病やストレスをコントロールすることは、睡眠障害認知症の予防・対策に有効です。生活習慣病は、高血圧や糖尿病などの疾患の総称であり、血管や神経細胞にダメージを与えることで、認知症の原因にもなります。生活習慣病は、食事や運動などの生活習慣の改善や定期的な健診によって予防・管理することができます。生活習慣病の予防・管理には、以下のようなポイントがあります。

塩分や油分の摂り過ぎを避ける
野菜や果物などの食物繊維やビタミンを多く摂る
動物性脂肪よりも植物性脂肪を摂る
過度な飲酒や喫煙を控える
適度な水分補給をする

ストレスは、心身にさまざまな影響を与えるものです。ストレスは、コルチゾールというホルモンの分泌を増加させることで、アミロイドβの生成量を増やしたり、神経細胞の死滅を促進したりすることで、認知症のリスクを高めます。また、ストレスは、不安や抑うつなどの心理的な症状や、不眠や頭痛などの身体的な症状を引き起こすことで、睡眠の質を低下させます。ストレスは、以下のような方法でコントロールすることができます。

感情や悩みを人に話す
リラックスできる趣味や娯楽に時間を割く
呼吸法や瞑想法などのリラクゼーション技法を行う
睡眠や食事などの生活リズムを整える
ポジティブな考え方や自己肯定感を持つ

認知症の早期発見・早期治療を受ける

認知症の早期発見・早期治療を受けることは、睡眠障害認知症の予防・対策に有効です。認知症は、初期段階では自覚症状が少ないため、気づかないまま進行してしまうことが多いです。しかし、認知症は、早期に発見・治療することで、進行を遅らせたり、症状を軽減したりすることが可能です。認知症の早期発見・早期治療には、以下のようなポイントがあります。

記憶力や判断力などの認知機能の低下に気づいたら、医師や専門医に相談する
認知機能検査や脳画像検査などの診断方法を受ける
認知症のタイプや原因に応じて、薬物療法や非薬物療法などの治療法を受ける
家族や介護者と協力して、日常生活や社会参加をサポートする

まとめ

睡眠障害認知症は密接な関係にあります。睡眠障害認知症の予防・対策には、以下のようなポイントがあります。

睡眠時間や睡眠環境を整える
睡眠時無呼吸などの睡眠障害を早期に発見・治療する
日中に適度な運動や光刺激を取り入れる
脳トレや趣味などで脳を活性化させる
生活習慣病やストレスをコントロールする
認知症の早期発見・早期治療を受ける

これらのポイントを実践することで、睡眠障害認知症の予防・対策に役立つと考えられます。睡眠障害認知症は、放置すれば進行してしまうものですが、早期に対処すれば改善する可能性もあります。自分の睡眠や認知機能に不安や異変を感じたら、医師や専門医に相談してみましょう。睡眠障害認知症は、自分だけでなく家族や周囲の人にも影響を与えるものです。一人で悩まずに、サポートを受けることも大切です。睡眠障害認知症は、予防・対策ができるものです。健康で快適な睡眠と脳を目指しましょう。