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健康診断で分かる貧血の原因とは?症状や対策を解説

健康診断で分かる貧血の原因とは?症状や対策を解説

健康診断は、自分の健康状態を把握するために重要なものです。しかし、健康診断の結果に「貧血」という言葉が出てきたら、どう思いますか?貧血とは、血液中の赤血球やヘモグロビン(血色素)の量が不足している状態のことで、酸素の運搬能力が低下してしまいます。貧血になると、疲れやすい、めまいや立ちくらみがする、顔色が悪いなどの症状が現れることがあります。貧血は、さまざまな原因で起こることがありますが、健康診断で分かる貧血の原因とは、どのようなものなのでしょうか?また、貧血を改善するためには、どのような対策が必要なのでしょうか?この記事では、健康診断で分かる貧血の原因と、症状や対策について、詳しく解説します。

 

健康診断で分かる貧血の原因とは?

健康診断で貧血を判断するためには、主に以下の3つの項目を見ます。

血色素量(Hb)
赤血球数(RBC
ヘマトクリット値(Ht)

血色素量(Hb)

血色素量(Hb)とは、血液中に含まれるヘモグロビンの量のことで、ヘモグロビンは赤血球に含まれるタンパク質で、酸素と結合して全身に運ぶ働きがあります。血色素量が低いと、酸素の運搬能力が低下して貧血になります。血色素量の正常値は、男性で13~17g/dl、女性で12~15g/dlです。WHOの基準では、成人男性で13g/dl未満、成人女性と小児(男女)で12g/dl未満、高齢者(男女)で11g/dl未満が貧血と定義されています。

赤血球数(RBC

赤血球数(RBC)とは、血液中に含まれる赤血球の数のことで、赤血球は骨髄で作られ、約120日で寿命を迎えます。赤血球数が低いと、血液の量が減って貧血になります。赤血球数の正常値は、男性で400~540万/μl、女性で350~480万/μlです。

 ヘマトクリット値(Ht)

ヘマトクリット値(Ht)とは、血液中の赤血球の割合のことで、血液を遠心分離したときに、赤血球が占める体積の割合を表します。ヘマトクリット値が低いと、血液の粘度が低くなって貧血になります。ヘマトクリット値の正常値は、男性で40~50%、女性で35~45%です。

健康診断でこれらの項目が異常値であった場合、貧血の可能性が高いと考えられます。しかし、貧血にはさまざまな種類があり、原因や症状も異なります。そのため、貧血の種類を特定するためには、さらに詳細な検査が必要になります。貧血の種類には、以下のようなものがあります。

鉄欠乏性貧血
溶血性貧血
再生不良性貧血
慢性疾患性貧血
巨赤芽球性貧血
サラセミ

それぞれの貧血の原因と特徴について、次の項で説明します。

健康診断で分かる貧血の種類とは?

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血とは、鉄分が不足してヘモグロビンを十分に作れないために起こる貧血のことです。鉄分は、肉や魚、卵、豆類などの食品から摂取することができますが、出血や妊娠、授乳などで鉄分が失われたり、吸収障害や消化器疾患などで鉄分が吸収されなかったりすると、鉄欠乏性貧血になりやすくなります。鉄欠乏性貧血は、最も多い貧血の種類で、特に女性や子供に多く見られます。鉄欠乏性貧血の特徴は、赤血球の大きさが小さく、色が薄い(低色素性)ということです。健康診断で、血色素量や赤血球数が低く、平均赤血球容積(MCV)や平均赤血球血色素量(MCH)が低い場合は、鉄欠乏性貧血の可能性が高いと考えられます。鉄欠乏性貧血の治療法は、鉄剤の服用や鉄分の多い食事の摂取です。また、鉄欠乏性貧血の原因となる出血や病気の治療も必要です。

溶血性貧血

溶血性貧血とは、赤血球が正常な寿命よりも早く壊れてしまうために起こる貧血のことです。赤血球が壊れる原因には、遺伝的なものや免疫系の異常、感染症、薬物、人工心臓弁などがあります。溶血性貧血の特徴は、赤血球の大きさが正常か大きい(正色素性か高色素性)ということです。
健康診断で、血色素量や赤血球数が低く、平均赤血球容積(MCV)や平均赤血球血色素量(MCH)が正常か高い場合は、溶血性貧血の可能性が高いと考えられます。溶血性貧血の治療法は、溶血の原因を特定して除去することや、赤血球の補充や鉄剤の服用などがあります。また、重症の場合は、輸血や脾臓の摘出などの手術が必要になることもあります。

再生不良性貧血

再生不良性貧血とは、骨髄が正常に働かないために、赤血球だけでなく、白血球や血小板も減少する貧血のことです。骨髄が正常に働かない原因には、遺伝的なものや免疫系の異常、化学物質や放射線、薬物、ウイルスなどがあります。再生不良性貧血の特徴は、赤血球の大きさが小さく、色が薄い(低色素性)ということです。健康診断で、血色素量や赤血球数が低く、平均赤血球容積(MCV)や平均赤血球血色素量(MCH)が低い場合は、再生不良性貧血の可能性が高いと考えられます。再生不良性貧血の治療法は、骨髄移植や免疫抑制剤の投与などがあります。また、感染症や出血の予防や対処も重要です。

慢性疾患性貧血

慢性疾患性貧血とは、慢性的な炎症や感染症、腫瘍などの病気によって、赤血球の生成が抑制されたり、赤血球の寿命が短くなったりするために起こる貧血のことです。慢性疾患性貧血の特徴は、赤血球の大きさが正常か小さい(正色素性か低色素性)ということです。健康診断で、血色素量や赤血球数が低く、平均赤血球容積(MCV)や平均赤血球血色素量(MCH)が正常か低い場合は、慢性疾患性貧血の可能性が高いと考えられます。慢性疾患性貧血の治療法は、原因となる病気の治療や、エリスロポエチン(赤血球を作るホルモン)の投与などがあります。

巨赤芽球性貧血

巨赤芽球性貧血とは、ビタミンB12葉酸が不足して、赤血球の成熟が阻害されるために起こる貧血のことです。ビタミンB12葉酸は、肉や魚、卵、緑黄色野菜などの食品から摂取することができますが、摂取量が不足したり、吸収障害や胃腸疾患などで吸収されなかったりすると、巨赤芽球性貧血になりやすくなります。巨赤芽球性貧血の特徴は、赤血球の大きさが大きく、色が濃い(高色素性)ということです。健康診断で、血色素量や赤血球数が低く、平均赤血球容積(MCV)や平均赤血球血色素量(MCH)が高い場合は、巨赤芽球性貧血の可能性が高いと考えられます。巨赤芽球性貧血の治療法は、ビタミンB12葉酸の補充や、原因となる病気の治療です。

サラセミ

サラセミアとは、遺伝的な異常によって、ヘモグロビンの構造が変わってしまうために起こる貧血のことです。ヘモグロビンは、α鎖とβ鎖という2種類のタンパク質からなりますが、サラセミアでは、α鎖やβ鎖の一方または両方が正常に作られないか、または正常に働かないために、赤血球が正常に機能しなくなります。サラセミアは、地中海沿岸やアジア、アフリカなどの地域に多く見られる遺伝病で、親から子に遺伝することがあります。サラセミアの特徴は、赤血球の大きさが小さく、色が薄い(低色素性)ということです。健康診断で、血色素量や赤血球数が低く、平均赤血球容積(MCV)や平均赤血球血色素量(MCH)が低い場合は、サラセミアの可能性が高いと考えられます。サラセミアの治療法は、輸血や鉄剤の服用や、重症の場合は、骨髄移植などがあります。

健康診断で分かる貧血の症状とは?

貧血になると、酸素の運搬能力が低下するために、全身の細胞や組織に酸素が十分に届かなくなります。その結果、以下のような症状が現れることがあります。

疲れやすい
めまいや立ちくらみがする
顔色が悪い
手足が冷える
頭痛や動悸がする
集中力や記憶力が低下する
髪の毛や爪が弱くなる
舌や口内が炎症を起こす
呼吸が苦しくなる

貧血が重度になると、失神や心不全などの重篤な合併症が起こることもある

貧血の症状は、貧血の種類や程度によって異なりますが、上記のような症状がある場合は、貧血の可能性があります。貧血の症状は、自覚しにくいことも多いので、定期的に健康診断を受けて、血液検査の結果を確認することが大切です。また、貧血の症状がある場合は、自己判断せずに、医師に相談して、貧血の原因や種類を診断してもらうことが必要です。貧血の原因や種類によって、治療法や対策が異なりますので、医師の指示に従って、適切な治療や予防を行うことが重要です。

健康診断で分かる貧血の対策とは?

貧血の対策としては、以下のようなことが挙げられます。

食事の改善
適度な運動
睡眠の確保
ストレスの管理
出血の予防や治療
貧血の原因となる病気の治療

食事の改善

貧血の対策として、食事の改善は非常に重要です。特に、鉄分やビタミンB12葉酸などの貧血に関係する栄養素を十分に摂取することが必要です。鉄分は、肉や魚、卵、豆類などの動物性食品や、ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜や、海苔やひじきなどの海藻類などの植物性食品から摂取することができます。ただし、植物性食品からの鉄分は、動物性食品からの鉄分よりも吸収率が低いので、ビタミンCやクエン酸などの鉄分の吸収を促進する物質を一緒に摂取することが効果的です。ビタミンCは、レモンやオレンジなどの柑橘類や、キウイやパプリカなどの果物や野菜に多く含まれています。クエン酸は、酢や梅干しやレモンなどの酸味のある食品に多く含まれています。また、鉄分の吸収を妨げる物質として、カルシウムやタンニンやポリフェノールなどがあります。カルシウムは、牛乳やチーズなどの乳製品や、小魚や干しエビなどの魚介類に多く含まれています。タンニンやポリフェノールは、紅茶やコーヒーなどの飲み物や、チョコレートやブドウなどの食品に多く含まれています。これらの物質は、鉄分と結合して不溶性の化合物を作り、鉄分の吸収を阻害します。そのため、鉄分の摂取と同時に摂取するのは避けるようにしましょう。ビタミンB12は、肉や魚、卵、乳製品などの動物性食品に多く含まれています。葉酸は、ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜や、レバーなどの動物性食品に多く含まれています。これらの栄養素は、赤血球の生成に必要なものなので、不足しないように摂取することが大切です。

適度な運動

貧血の対策として、適度な運動も効果的です。運動は、血液の循環を良くし、酸素の供給を促進することで、貧血の症状を軽減することができます。また、運動は、骨髄の働きを活性化し、赤血球の生成を促すこともできます。ただし、運動は、過度に行うと、逆に貧血を悪化させることもあります。特に、激しい運動は、赤血球の破壊や出血を引き起こす可能性があります。そのため、運動は、自分の体力に合わせて、無理のない範囲で行うことが重要です。運動の種類としては、ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動がおすすめです。有酸素運動は、心肺機能を高め、酸素の利用効率を向上させることができます。運動の時間としては、1日に20分から30分程度が目安です。運動の前後には、水分補給やストレッチを行うことも忘れないようにしましょう。

睡眠の確保

貧血の対策として、睡眠の確保も重要です。睡眠は、体の疲労を回復し、免疫力を高めることで、貧血の症状を軽減することができます。また、睡眠は、赤血球の生成にも関係しています。睡眠中には、エリスロポエチンという赤血球を作るホルモンが分泌されます。エリスロポエチンは、酸素の不足を感知して分泌されるので、睡眠中には、呼吸が浅くなり、酸素の不足が起こりやすくなります。そのため、睡眠中には、エリスロポエチンの分泌が増え、赤血球の生成が促されます。睡眠の時間としては、1日に6時間から8時間程度が目安です。睡眠の質を高めるためには、寝る前には、カフェインやアルコールなどの刺激物を避けることや、リラックスできる環境を整えることが大切です。

ストレスの管理

貧血の対策として、ストレスの管理も必要です。
ストレスは、自律神経やホルモンバランスを乱し、免疫力や血液の働きに悪影響を与えることがあります。特に、慢性的なストレスは、エリスロポエチンの分泌を抑制したり、鉄分の吸収を妨げたりすることで、貧血を悪化させることがあります。そのため、ストレスの管理は、貧血の対策として重要です。ストレスの管理の方法としては、以下のようなことが挙げられます。

趣味やリラクゼーションなどのストレス解消法を見つける
気持ちを吐き出す相手や場所を探す
ポジティブな考え方や感謝の気持ちを持つ
自分の限界を認めて無理をしない
必要ならば、専門家に相談する

ストレスは、避けられないものですが、上手にコントロールすることで、貧血の予防や改善に役立てることができます。

出血の予防や治療

貧血の対策として、出血の予防や治療も重要です。出血は、鉄分や赤血球を失うことで、貧血を引き起こす原因の一つです。出血の原因には、外傷や手術、生理や出産、胃潰瘍や大腸ポリープなどがあります。出血の予防や治療の方法としては、以下のようなことが挙げられます。

傷や切り傷などの外傷には、消毒や止血を行う
手術や出産などの場合は、事前に鉄剤や輸血を行う
生理の量が多い場合は、ホルモン剤や鉄剤の服用や、子宮内膜症子宮筋腫などの治療を行う
胃潰瘍や大腸ポリープなどの場合は、内視鏡検査や治療を行う
出血の原因となる薬物や食品を避ける
出血は、貧血の症状を悪化させるだけでなく、重篤な合併症を引き起こすこともあります。そのため、出血の予防や治療は、早期に行うことが大切です。

貧血の原因となる病気の治療

貧血の対策として、貧血の原因となる病気の治療も必要です。貧血の原因となる病気には、溶血性貧血や再生不良性貧血などの血液疾患や、慢性炎症や感染症、腫瘍などの全身性疾患があります。これらの病気は、赤血球の生成や寿命に影響を与えることで、貧血を引き起こします。貧血の原因となる病気の治療法は、病気の種類や程度によって異なりますが、一般的には、薬物療法や手術療法などがあります。貧血の原因となる病気の治療は、貧血の症状を改善するだけでなく、病気の進行や合併症を防ぐこともできます。そのため、貧血の原因となる病気の治療は、早期に行うことが重要です。

まとめ

健康診断で分かる貧血の原因とは、鉄欠乏性貧血や溶血性貧血、再生不良性貧血、慢性疾患性貧血、巨赤芽球性貧血、サラセミアなどのさまざまな種類があります。貧血の種類によって、赤血球の大きさや色が異なります。健康診断で、血色素量や赤血球数、平均赤血球容積や平均赤血球血色素量などの項目を見ることで、貧血の可能性や種類を判断することができます。貧血になると、疲れやすい、めまいや立ちくらみがする、顔色が悪いなどの症状が現れることがあります。貧血の対策としては、食事の改善や適度な運動、睡眠の確保やストレスの管理、出血の予防や治療、貧血の原因となる病気の治療などがあります。貧血は、自覚しにくいことも多いので、定期的に健康診断を受けて、血液検査の結果を確認することが大切です。また、貧血の症状がある場合は、自己判断せずに、医師に相談して、貧血の原因や種類を診断してもらうことが必要です。貧血の原因や種類によって、治療法や対策が異なりますので、医師の指示に従って、適切な治療や予防を行うことが重要です。